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人を支えるものー堀ちえみの場合

更新日:2020年1月15日

 昨年末は環境問題のこともあり憂鬱だったが、年始に見た2つのテレビ番組を見て、大切なことを思い起こさせられた。


 ひとつは、「徹子の部屋」でタレント堀ちえみが語った闘病生活­。彼女の人生は、30代の代の頃から特発性重症急性膵炎、特発性大腿骨頭壊死、慢性関節リウマチ、神経障害性疼痛など、強い痛みを伴う、ひとつでも生きていくことに悲観的になりそうな病との闘いだったようだ。


 その彼女に舌癌が見つかったのが昨年2019年の1月。すでに頸部リンパ節にも転移していたので、ステージIVの進行癌だった。


 医師から告知を受けた時の彼女は以外に冷静だった。「もうダメかもしれないが、人生に悔いはない」と。タレントしても活躍し、多くの困難な病気と長年格闘してきた彼女だからこそ、そう思ったのだろう。


 半分あきらめかけていた彼女の闘病意欲を掻き立てたのは、事情を聞かされた時の16歳の娘の反応だった。娘は「お母さんはかわいそう過ぎる」号泣した。その時に、子どもたちや夫のためにできることをすべてやって病気と闘おうと思えた、と堀ちえみは語っていた。


 手術は12時間に渡った。舌の大半を切り取り、太ももの筋肉を「代理舌」として口内に移植。術後に萎縮するため大きめにして移植した筋肉が口から垂れ下がっていた。自分の顔を手術後初めて見た時は、あまりの醜悪さに「死んでしまいたい」と思ったそうだ。


 幸いにして癌は取り切れ、術後の辛いリハビリも経てということになったのだが、念のため受けた胃カメラ検査で今度は食道癌が見つかった。こちらは初期の癌で内視鏡で取り切れたが、絶食が必要だったため移植した代理舌の嚥下機能が衰えてしまい、回復が後退しているように思えて辛かった、と語っていた。


 「徹子の部屋」で語る彼女の発音は明瞭とは言い難かったが、一言一言、なんとか人に伝わるよう言葉を一所懸命発してしている様子が伝わってきた。


 彼女の闘病生活を支えているのは、彼女の家族、医療スタッフ、ブログを読んで励ましのメッセージをくれる人たちだ、と彼女は語る。過酷な人生と戦う彼女はすごいと思う。しかしやはり、「人を支えるのは人」なのだと思った。


 もうひとり、カメラマンの保山耕一という人のインタビュー番組からも学ぶことが多かったが、それは次回に譲りたい。

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