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昆虫カタストロフィー

 NHKの土曜ドラマ「大富豪同心」を毎週録画している。主演は中村隼人。有名な歌舞伎役者でNHKの大河ドラマなどにも何度か起用されたらしいが、私は全く知らなかった。しかし「大富豪同心」のドラマの中で扇子を用いた舞いを見て、ただ者ではないことだけは分かった。


 以来、彼のトボけた役柄に惹かれて、毎週見るのを楽しみにしている。彼は商家のお坊ちゃんで遊び人という設定で、仕草にも、語り方にも、踊りにも柔らかなお色気がある。歌舞伎役者としての修練の賜物なのだろう。


 それはさておき、先日の「大富豪同心」の時間帯は、年末仕様の番組変更で「香川照之の昆虫やばいぜ!」が代わりに録画されていた。夕食時、他に見るものもないので見るともなしに見ていたところ、気になることを番組の中で紹介していた。


 ここ30年ほどの間に昆虫が激減していることが、世界中で報告されているというのだ。ドイツやイギリスでは27年間で飛ぶ虫の量が約4分の1に減少した。プエルトリコでは36年間で地上の昆虫が98%(!)減少したそうだ。


 シドニー大学の研究者が世界中の昆虫減少に関する論文を検証したところ、地球上の昆虫はこの30年間で毎年2.5%ずつ減少しており、この傾向が続くと100年後には現在の1%未満となるという。


 その研究者は「昆虫カタストロフィー」という表現を使っていた。最近ミツバチの数が激減して蜂蜜が取れなくなっているとのことだが、昆虫カタストロフィーが起きると蜂蜜が取れないだけでなく、80%の植物が実を結ばなくなるという。昆虫に受粉を依存しているからだ。


 昆虫も植物も生態系のピラミッドの基礎部分を成している。それらが激減するということは、すなわちピラミッドの頂点をなす捕食動物たちが飢えて死滅することを意味する。ライオンやクマも殺す人類は、生態ピラミッドの頂点に位置づけられるのだろうから(それにしては個体数が多すぎるのが不思議だが)、人類の生存も当然危うくなる。


 番組では、日本でも石川、富山、静岡などでアキアカネ(俗称赤とんぼ)が1%(!)に減少していることも報告していた。


 私の住む燕市の付近でも、少なくとも15年位前までは、秋になるとアキアカネが群れを成して空を舞っていた。車で農道などを走るとトンボの大群に突っ込んでしまい、車のフロントガラスにぶつかる個体も何匹もいた。しかし最近では、そのようなことはほとんどなくなった。


 ネットで調べたところ、アキアカネの目立った減少は2000年ごろから始まっている。極めて急激であること、そして減少程度に地域差があることなどから、90年代後半から普及しはじめた、稲の育苗箱に用いられる殺虫剤が原因のようだ(詳しくは下記サイト)。

 http://nacsj.net/magazine/post_936.html


 赤とんぼは、誰でも知っている童謡のタイトルになっているように、日本のふるさとの象徴であり、日本人の心象風景の原像をなすもののひとつと言ってよいだろう。その赤とんぼが消えつつある。


 いまの子どもたちが将来成長した後に、「ふるさとと言う言葉で何を思い浮かべますか」と質問されたら、どう答えるだろう?「ふるさとってなんですか?」と問い返すのではないか、とすら思ってしまう。「ふるさと」や「赤とんぼ」は死語になってしまうのだろうか?そうなったら、一体「日本人である」ことを感じさせるものは何なのだろう?アニメなのか?ゲームなのだろうか?


 大富豪同心を見るつもりが、2019年の締めくくりとして、とてつもなく大きくて深刻な課題を与えられたような思いがする。大富豪同心を見て、心安らかに今年を終わりたかった…。

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保山氏や前回のブログで取り上げた堀ちえみの人生から学ぶことは多かった。人はどのように絶望的な状況に陥ろうとも、それはそのままに、しかし日々の生活を意義あるものにできるのだ、と。

自分では大発見をしたように思ったが、それほど珍しいものを見つけたわけではないことを知り、少し残念だった。しかしそれでも、秋の晴れた日に、国上山のひだまり公園近くで「虫こぶ」なるものに出会えたのは、私には大きな出来事だった。