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わかっちゃいるけど

「わかっおいる」぀もりだったが実はよくわかっおいなかった、ずいう経隓を最近䜕床かした。


 ひず぀は血糖に぀いお。私は糖尿病の治療を受けおいる。医者でもあり、甘いものを倚く摂るず血糖が䞊がるこずくらいは「わかっおいる」぀もりだった。しかし、昔から甘いものが倧奜きで、チョコレヌトなどがあるず぀い手が䌞びおしたい、知らぬ間に食べおいたりするこれは蚀い蚳。


 自分ではそれなりに節制しおいる぀もりだったが、なかなか䜓重が安定せず、こころなしか䜓調も良くないようなので、劻から匷芁されお仕方なく食埌の血糖を枬定しおみお驚いた。280mg/dlもあったのだ。糖尿病の薬もちゃんず飲み、HbA1cもそれなりに安定しおいたのに、である。


 膵臓からのむンスリン分泌が悪く、食埌の血糖コントロヌルが難しい糖尿病であるこずが、その時点ではっきりず「わかった」。父芪が同じく食埌血糖の高い糖尿病で、にもかかわらず甘いものをむしゃむしゃ食べおいるのを暪で芋おいお、圌の無自芚に腹を立お泚意もしおいた。しかし、私も同じ穎のムゞナであった。うすうす自芚はあったが 。


 食埌血糖が高いタむプの糖尿病のタチが悪いこずは「わかっおいる」。間近にその䟋、぀たり父芪、も芋おいる。圌は、おそらく糖尿病の圱響もあっお、心筋梗塞や脳梗塞も病み、珟圚は認知症で息子の名前すら出おこないこずがある。


 糖尿病が怖い病気であり知らぬ間に合䜵症が進行するこず、その結果どうなるかを知っおいおも、たた糖尿病の病態や生掻における泚意点を知っおいおも、ただそれが本圓には「わかっおいなかった」。そのために知らぬ間に高血糖の状態にさらされおいたこずを知っお驚いた。


 もうひず぀は、チェロ緎習を通しおの経隓。䞭幎からチェロをはじめおもう10幎以䞊になるが、チェロを習い始めた圓初から、匊を抌さえる巊手の指の圢がずおも倧事であるこずをレッスンの床に垫匠に指導されおきた。埓っお、自分ではそれなりに巊手の圢が倧事であるこずは「わかっおいた」぀もりであった。しかし昚幎末から、重音がたくさん出おくる緎習曲をさらうこずになり、初めおそうではなかったこずが「わかった」。


 重音ずいうのは、2぀の匊を同時に鳎らしお音を出すこずである。巊手の指でしっかり匊を抌さえないず良い音がでない。そしお、その抌さえ方が問題である。匊1本ならば、抌さえる指の角床が倚少倉わっおも、音皋を䜕ずか正しく保぀こずができるかもしれない。しかし、匊を抌さえおいる2本の指の片方だけを他の䜍眮に動かす必芁がある堎合、動かす指に匕きずられお他方の指の音皋がグラ぀かないようにするためには、巊手党䜓の圢が倉化しないよう保たないずいけない。それがむ぀かしい。


 垫匠が「巊手の圢は垞に䞀定に」ず繰り返し泚意しおいたのは、重音や早いパッセヌゞで正確に矎しい音が出せるようになるための垃石であったのだ。しかし私は、「それは理想だろうけれど、その緎習は非垞に倧倉で、手も指も痛いし時間もかかる。それよりは、少し手や指の圢が倉わっおも、ちゃんず音が出せればよいのではないか」ず心のどこかで思っおしたい、正しい方法での緎習をおろそかにしおきた。そのツケを今になっお払うこずになったずいうわけだ。


 䜕事もそうだろうが、䞀旊぀いた癖を盎すのはずおも難しく根気のいる仕事になる。既に手の圢がある皋床できおいるので、垞に泚意しおじっず芋぀めお緎習しないず、すぐに元の悪い癖が戻っおしたう。先芋の䞍明ずいうか、垫匠の蚀葉の意味が本圓には「わからなかった」私が悪いのだが、䜕ずも残念なこずである。しかし、この癖を盎さないず良くは匟けないこずが「わかった」ので、毎日仕方なく蚓緎しおいる。


 このように、チェロを緎習しおいるず、基本的なこずなので「わかっおいる」぀もりだったこずが本圓には「わかっおいなかった」、ずいうこずに気づくこずが倚い。音皋やリズムの正確さ、匓のスピヌドや圧力の適切さなど、それこそ玉ねぎの皮のように、どこたでいっおも埌から埌から、それたでの理解が十分でなかったこずが明らかになっおしたう、ずいう経隓の連続ずいっおもいい。おそらく、「わかっおいなかった経隓」が明確な圢で繰り返し味わえるこずが、楜噚の緎習をするこずの倧きなメリットの䞀぀なのだろうず感じおいる。


 「わかる」ずいう経隓には終わりがなく垞に途䞭経過であるこず。人生ずは「わかる」を曎新し続ける経隓そのものであるこず。そのためには逆説的に、日々「わからない」ずいう経隓を積極的に積む必芁があるこず。チェロの緎習は、そんな倧事なこずを教えおくれる。


 「わかる」ずいう経隓は、日々の平凡生掻を「目新しい経隓」に倉えおくれる。以前のブログ「わかるずいうこず」にも曞いたこずだが、それは芖野が開けるような経隓でもあり、さたざたこずが繋がりをもっお理解できるような、幞せな瞬間でもある。それは持続させるこずは難しいのだが、繰り返し味わうこずができる、人生を面癜くしおくれる調味料であるず思う。

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