少し詳しく

「希望」なんてない?

 重症のうつ病では希望を見失ってしまっていることもあります。そのような人には薬や入院治療が必要なことが多いと思います。

 

 一方で、それほど重症でなくても、うつ状態に陥っている人は「私に希望なんてない」と思い込みがちです。しかし、ブログにも書きましたが、すべての人はなんらかの希望を持って生きています。希望をどこかに感じているから生きられるのです。(本当に絶望した時点で人は生きることを止めてしまうことを、自らユダヤ人収容所での生活を経験した精神科医ヴィクトール・フランクルは観察し記録しています。)

 

 問題は、その希望の「実現」が妨げられていること、あるいは妨げられていると感じていることだと思います。

 

 希望の実現を妨げているものを明確にして、それをどうしたらよいのか、解決の方向や手段を考え確認してゆくことが、治療の要だと思います。

 

認知行動療法

 認知行動療法とは、物の見方や考え方を変えることで、気持ちを楽にしたり前向きになれるようにする心理的な治療法です。

 私たちは普段の生活の中で、さほど意識することなく物の見方を変えたり自分の行動を変えたりして困難を乗り越えています。しかし、自分の精神状態が不安定だったり、問題が大きかったりすると、自分だけでは意識を切り替えることが難しかったりします。そんなときに心理療法としての認知行動療法が有効となります。

 正式な認知行動療法は、1時間弱のセッションを毎週1回、10週以上に渡って行うことになっています。

 残念ながら、現在の日本の医療では、精神科医が一人の患者さんに長い時間をかけてカウンセリングすることは現実問題として難しいものがあります。それは当院も同じです。

 

 しかし、認知のゆがみを指摘しながら、その改善を促す治療は大切だと思っていますし、短い診療時間の中でも少しずつ取り入れて行きたいと思っています。

 認知行動療法の詳細については、日本での認知行動療法の第一人者である大野裕先生のウエブサイトhttp://www.cbtjp.net/を参照してください。

薬による治療

イラストミント

​ 精神科で使われる薬に対して不安を抱いている人は多いようです。

 確かに、むかし精神科で使われていた薬は副作用の強いものが多かったので、そのイメージが残っているのだと思います。

 しかし現在では副作用の少ない薬が開発され、例えばADHDの薬などは、薬を使うことによって友達のとの関係がよく保たれたり、集中力が増して学校生活が楽しくなる、などの効果がはっきり出ることも多いようです。

 当医院では、必要な薬を最小限処方することを目指しています。しかし、特に精神科の薬は人によって効果も副作用も現れ方が大きく異るので、薬の種類や量が落ち着くまで時間がかかることが多いのです。

 早く症状を軽快させるためにも、ぜひ医師が指定した方法で服薬し、その効果や副作用を診察の時に伝えてください。それは、よい治療関係を保つ上でも、とても大切なことです。